矯正歯科治療に伴う一般的なリスク・副作用および注意事項
矯正歯科治療に伴う一般的なリスク・副作用および注意事項について教えてください。
Ⅰ. 矯正装置について
・矯正装置による不快感、また歯を動かすことで咬む時に痛みや違和感が生じることがあります。
・数日間~1、2週間ほどで慣れることが多いですが、まれに長びくことがあります。
その際は、市販の鎮痛薬(バファリンやロキソニンなど)を服用して下さい。1週間以上強い痛みが続くときはご相談ください
・金属などのアレルギー症状が出ることがあります。症状が強い場合には、装置の変更もしくは治療の中止が必要となることがあります。
・装置を撤去する際に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性、被せ物の一部が破損する可能性があります。
Ⅱ. 矯正治療中について
・装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正治療には患者さんの協力が非常に大事であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
・矯正装置のトラブルを避ける・十分な治療効果を得るために、装着時に説明する内容やご自身で取り外しする装置やゴムなどの材料は、使用時間・使用方法などを守ってご使用ください
・装置の破損・変形、脱離を防ぐため、硬いものや粘性のある食べ物(飴、キャラメルなど)を避ける、食べ物は小さく切って食べるなどのご協力をお願い致します。
・治療中は装置があることで歯磨きが難しくなります。そのため、虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧に磨くことや定期的にメンテナンスを受けることが重要です。
特に、毎食後のブラッシングは欠かさず行ってください。ワイヤー装着後は、ワイヤーの正面・上側・下側の3方向からのブラッシングを行いましょう。
・歯が動くと隠れていた虫歯が確認されることもあります。
・口腔内の衛生状態を良好に維持できない場合、治療を中止・中断しなければならないことがあります。
・歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
・歯の移動により
(a) 歯根先端に吸収が生じることがあり、ごく稀に非常に大きな吸収を起こして治療を中断する場合があります。
(b) 歯肉退縮(歯茎が下がること)が生じることがあります。稀に、退縮が大きく処置後に歯周病処置が必要になる場合があります。
(c) 失活(歯髄:歯の神経が死ぬこと)およびそれに伴う歯の変色が起こることがあります。この場合、歯髄処置と補綴処置になる可能性あります。
・ごくまれに歯と骨が癒着していて歯が動かないことがあります。骨性癒着(歯とあごの骨の癒着)といいますが、この治療途中に発見・発症した場合には治療計画を変更することがあります。
・歯科矯正用アンカースクリューについて、骨の支持不足や口腔衛生不良などの原因により歯科矯正用アンカースクリューが脱落することがあります。
・喫煙は歯を支える組織にダメージを与え、治療の進行にも悪影響が大きいため、喫煙中の矯正治療はお断りさせていただきます。
Ⅲ. 顎関節
治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口があけにくい」などの顎関節症状がでることがあります。
顎関節症は、矯正治療により積極的に治療できる疾患ではありません。矯正治療により改善することが多いで
すが、ときには悪化することもあります。矯正治療中は担当医とよくご相談ください。
Ⅳ. 装置撤去後について
・矯正装置を外してからも大事な段階が続きます。
・せっかく整えた歯ならびや咬み合わせも、保定装置を使用しない、定期診査を受けないなどの場合、後戻りなどの好ましくない結果を招くことがあります。当院では動的治療後も2~3年間のアフターケアをさせていただきます。
・装置撤去後のかみ合わせに合った状態の被せ物や虫歯の治療などをやり直す可能性があります。
・あごの成長発育により、かみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
・治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
・加齢や歯周病などにより、かみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療が必要になることもあります。
Ⅴ. その他
・様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
・矯正治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
・写真撮影、就職活動、結婚式などの理由で一時的に装置の撤去の希望がある場合は対応致しますが、
別途費用が発生することをご了承下さいませ。
より快適な環境のもと、安全で効率的に矯正治療をすすめるために、上記についてご理解のうえ、積極的に治療に参画していただけるようお願いいたします。
ご不明な点やお困りの点がございましたら、いつでもお気軽に矯正担当医やスタッフにご相談ください。
より緊密なコミュニケーションがよりよい治療結果をもたらします。